トランプ米大統領は、18日、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長への書簡をTwitter上で公開しました。
WHOが中国寄りだとの批判を展開した上で、30日以内に実質的な改善が見られなければWHOへの資金拠出を停止するとともに脱退をも検討するとの内容です。
トランプ政権はかねて、WHOの姿勢が中国寄りとの批判を強め、資金の拠出を停止すると述べていました。
目次
アメリカとWHOとの軋轢の流れ
トランプ大統領のWHO非難
トランプ大統領は4月7日、Twitter上で「WHOのウイルス対策は極めて中国よりだ」との批判を展開。
「WHOは新型ウイルス対策を台無しにした。アメリカはWHOに多大な資金を提供しているのに、そのウイルス対策はとても中国よりだ」
「我々は事態を注視している。資金拠出を停止する方針だ」
などと述べていました。
さらに4月14日の時点で新型コロナ対策において「WHOは果たすべき義務を果たさなかった」としてWHOへの資金拠出を停止するよう指示したと表明。
発言が波紋を呼んでいました。
テドロス氏は団結訴え
これに対して、テドロス事務総長は4月8日の記者会見で、「WHOは全ての国と近い。我々の敵はコロナウイルスであり、米中はともに戦わなくてはならない。」と述べました。
また「アメリカからの資金拠出が今後の続くと信じている」とも述べ、事態を治めようとしていました。
WHO擁護の声も
これに先立って国連のA.グテーレス事務総長はWHOを擁護。
グテーレス氏は「新型コロナウイルスの大流行は過去に例のないものだ」とし、どのように対処がなされたかは今後の課題にすべきだと表明しました。
また、フランスのマクロン大統領もまた「WHOへの信頼と支援を再確認する」としてWHOへの支援を申し出たとロイター通信は報じています。
トランプ大統領の不満
アメリカは、昨年WHOに年間4億ドル(430億円)を拠出した最大の出資国。
この金額はWHOの年間予算の15%に当たります。
それにもかかわらずアメリカはコロナウイルスの感染者・死者はともに世界最多。
「多額の出資金にもかかわらずアメリカは正当に扱われていない」との、トランプ氏の大きな不満につながったものと見られます。
テドロス氏への書簡
トランプ氏は、5月18日にTwitterで公開したテドロス氏への書簡の中で、WHOの次のような点を問題としています。
- 昨年末の時点で中国・武漢での感染拡大を警告する必要があったにもかかわらず放置した
- 台湾が人から人への感染の可能性に言及したにもかかわらず政治的な理由から公表しなかった
- 中国への配慮からWHOがパンデミックの宣言を遅らせ、世界を感染にさらした
- これらは中国への配慮から成されたものである
以上の理由から、30日以内に適切な改善が見られなければアメリカ政府からの出資金を凍結するとともにWHOからの脱退もありうると言及したのです。
ラクダは考える
トランプさんはもともと無茶なことを言うお方。
ですが、今度ばかりはずいぶんと派手にぶち上げたものです。
普通は「WHOを脱退?ウソでしょ」ですむ話ですが、この方の場合本当に脱退しかねないところがコワイですね。
一方、名指しされた中国も、「コロナ対策優等生」の台湾をオブザーバーとしてWHO年次総会に呼ぶことを断固反対した頑固さ。
日米始めとする8カ国の運動にもかかわらず、今回の年次総会に台湾への招待状は届きませんでした。
コロナウイルスをやっつけるのに必要なのはあらゆる英知を結集することだと思うのですが。
今の時点で米中が急に仲良くなることは難しいかもしれませんが、もう少しお互いに大人になってほしいものです。
ここまで読んで頂いてありがとうございました!