旅行や飲食などの需要喚起のために政府が打ち出していた景気振興策「GO TO キャンペーン」が、仕切り直しとなりました。
キャンペーン事業を推進する事務局の委託費用が3095億円とあまりに巨額で、野党の批判を浴びたのがきっかけです。
大型の景気刺激策として期待されていたこの事業。
もしかして中止になってしまったりするんでしょうか??
GO TO キャンペーン事務局委託先公募中止
GO TO キャンペーンの中身
GO TO キャンペーン事業は、新型コロナウイルス感染の広がりにより打撃を受けた観光・飲食・運輸事業者などを支援する目的で策定されました。
消費者が業者を通じて旅行商品などを購入すると、旅行代金の半額(最大限一泊あたり20000円相当)のクーポンが発行される仕組み。
1兆6794億円の予算が計上され、大型の景気刺激策として期待されていました。↓
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旅行費用が半額に!?政府施策「GO TO キャンペーン」の中身|割引クーポンの対象業種は?
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キャンペーンの委託費3095億円に批判殺到
ところが、キャンペーン事業の中枢となる事務局への委託費用が3095億円とわかり、批判が殺到。
これは、予算総額約1兆6800億円の20パーセント近くにのぼります。
一つの事業の委託費用としては確かにあまりに巨額で、野党のほか世論の批判をも浴びる事態に。
政府はこれを受けて、5日、委託先公募の中止を発表。
7月にもクーポン配布が始まる予定でしたが、いったん白紙に戻った形になりました。
GO TOキャンペーン委託先公募中止に関する声
公募中止に賛成する意見
これは当然。税金の使い道はきちんとチェックする必要あり:委託費3000億円、公募いったん中止 https://t.co/xo2pjurL80
— H. TSUJI (@galois225) June 5, 2020
https://twitter.com/tacogimi/status/1268883371817459712?s=21
3000億円にも及ぶ事務委託費が批判された「GoToキャンペーン」について、ひとまず公募が中止されたが、まず感染が収まったとは言えない中で、人の流れを生み出すキャンペーンの是非自体が問われるべきだ。今まさに支援を必要としている人々に1.7兆円を回すべき。 https://t.co/bXUW4lBgj6
— 異邦人 (@Narodovlastiye) June 6, 2020
- 3095億円は高すぎる
- 特定の企業との癒着があるのでは?
- 税金の使い道を厳しくチェックすべき
- 人の流れを生み出すキャンペーンは今夏はすべきでない
このような意見が多いです。
確かに3095億円はあまりに巨額。
なぜそのような額になるのか説明が乏しい気はします。
また、東京アラートの発令や九州でのクラスター発生などを受けて、今夏にこのようなイベントは不適当という意見はうなずけます。
公募中止を惜しむ声も
夏に間に合えば使うんだけどなぁ
GoToキャンペーン公募中止、観光・飲食などは省庁ごとに(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース https://t.co/t0r0yw7cjJ
— 田中 益孝 (@masterka1) June 6, 2020
圧縮ということより、何にいくら使うか?なぜ必要か?だけちゃんと説明してくれれば良いと思うのですが、、、それが一般的に問題なければ、進めればよいと思います。 / 経産省、“GoToキャンペーン”はいったん公募中止 委託費圧縮の方向で検討 (毎日新聞) #NewsPicks https://t.co/8C67URPFwX
— 斎藤 俊一 (@hda_shun) June 5, 2020
Go To キャンペーンは、委託運営費が高いと国会で野党が追及していて7月中の開始は難しそう。
反対ばかりしてないで、具体案を出してほしい。
いつものことでため息しか出ない。https://t.co/apiz5JINpF— Atsushi - 旅行業で生きてます! (@biesachipon) June 5, 2020
- 使いたかったのに残念
- 旅行業者としてはぜひ進めてほしい
- 金額の使途がきちんと説明できれば良いのでは?
新型コロナウイルスによる感染拡大のために観光・飲食業者が困窮するなか、期待していた事業の遅れを惜しむ声も多くみられました。
キャンペーン事業そのものは存続の方向
政府は今後、事業一括して委託する事務局は設けず、観光・イベント・飲食などの分野ごとに改めて委託先を募集する方向です。
国土交通省、経済産業省、農林水産業それぞれが分野ごとに委託先を選定し、事業を発注することになりそう。
一つの事業者だけにこの大きな事業を委託するのでなく、各省庁がそれぞれの事業を担当することになります。
予算総額に関しては、①総額は変わらず ②各省庁ごとに減額を目指す 2種類の報道があります。↓
① 3095億円の予算総額は変わらないという報道↓
一方、野党などが高すぎると批判していた最大で3095億円とする委託費の予算は変更せず、分野ごとに関係する省庁が応募要領やスケジュールをまとめるとしています。(6月6日・NHKニュース)
② 契約額を引き下げる案を検討する報道↓
今後、経済産業省、国土交通省、農林水産省がそれぞれの業務分野ごとに事務局を選定・発注し、個々の契約額を引き下げる案を検討する。政府内で取りまとめ役となっている経産省の担当者は5日夜、キャンペーンの開始時期について「多少の遅れは生じ得る」と話した。(6月5日・時事ドットコム)
事業の仕切り直し、すなわちやり直しをするということで、当然ながら7月末にも始まる可能性も取り沙汰されたクーポン発行は大幅に遅れることがほぼ確実となりました。
ただ、報道から見られる通り、現在のところGO TO キャンペーン事業そのものが中止になったということではないようです!
キャンペーンを楽しみにしていた人にとっては、少し安心できそうな状況です。
ラクダは考える
この件は、立場やスタンス、考え方の違いによって大きく意見の分かれる事例だと思います。
3095億円というあまりにも巨大なお金が、たった一つの事業者に采配されることへの不安、不信感を持つ人が多いのは当然。
元は私たちの税金なのですから、その使い道が不透明ならば納得がいくように政府に説明を求める声が多いのも自然なことです。
また、人の流れそのものが感染拡大を助長することが確実な今、大規模な人の移動を伴う旅行キャンペーンは政府の政策として果たして適当なのかどうか。
よく考える必要があります。
ただ、今回のコロナ禍により観光業、飲食業、イベント企画業は壊滅的な被害を受けています。
政府としては、それらの企業・事業者に手を差し伸べることで多くの雇用を守りたい。
観光業や飲食業などのサービス業従事医者の数は非常に多く、裾野の広い産業だからです。
このままでは倒産するとの悲鳴のような声も届いていると思われ、政府主導のキャンペーン事業を行うことで景気浮揚につなげたいとする意欲も見て取れます。
最終的にどのような形で決着するのかはまだわかりませんが、大切なのは以下のようなことではないでしょうか。
- 多くの人が納得する税金の使い道であること
- 透明性のある議論がなされること
- 景気刺激策として効果があること
- 感染が広がらないこと
これらの課題を全てクリアする政策を制定し、実行するのは正直至難のワザ。
全ての人を納得させることは難しいことでしょう。
それでも、政府がこれらの課題に正面から向き合って、少しでも多くの人の賛成を得られる形で事業が行われることを切に願うものです。
ここまでお読み頂いてありがとうございました。