7月5日に投開票が行われた東京都知事選挙は、事前の予想通り現職の小池百合子氏が再選されました。
366万票を獲得し、2位以下の候補に大差をつけての圧勝は記憶に新しいところ。
ところで、都知事選に先立って発売された石井妙子氏の著書「女帝 小池百合子」が大ベストセラーになっています。
目次
小池百合子氏の「自分ファースト」ぶり
5月29日に発売されたこの書籍は、ノンフィクション作家石井妙子氏の渾身の作品。
綿密な取材により、有名な小池氏のカイロ大学卒業疑惑や、政治家としての資質、ひいては人間性に対する疑問点に迫っています。
小池氏にとって極めて厳しい内容で、6月12日の時点で3度目の完売。すでに52万部が販売されました。
小池氏の「自分ファースト」ぶり、弱者に対する暖かくない対応は、様々なメディアで批判的に報道されていました。
- 記者会見で自身に都合の悪い質問をした記者は2度と指名しない
- 阪神・淡路大震災の被災者に対する心ない扱い
- 拉致被害者の親族に対する無神経な言葉
などは、ネットニュースなどで接した方もいるのではないでしょうか。
それにもかかわらず、この都知事選挙での圧勝ぶり。
このような厳しい批判がありながら、なぜ小池氏は都知事選で圧勝することができたのでしょうか。
誰が小池氏に投票し、その圧勝を支えたのでしょうか
小池百合子氏に投票した人々とは
7月5日21:19 配信の朝日新聞デジタルは、「無党派層の5割が小池氏に 女性支持高く」との見出しで、小池氏が無党派層の女性から強く支持されたと伝えています。
小池氏には自民、公明支持層の8割、無党派層の54%が投票した。さらに立憲支持層の29%、共産支持層の17%も取り込んでいた。女性の支持が高く、全ての年代に浸透している。(7月5日・朝日新聞DIGITAL)
無党派層のほか、与党の8割、立憲民主党や共産党などリベラル勢力からも得票。
そして全ての年代で女性の支持が高かったとのこと。
有権者の半分は女性ですから、これは他の候補は正直勝ち目がなかったと言っても過言ではありません。
それでは、なぜ小池氏は多くの女性たちに支持されたのでしょうか。
小池百合子氏が女性に支持された理由
小池百合子氏の「コロナ対策」は評価
小池氏は、コロナウィルス対策を高く評価されています。
都の新型コロナウイルス感染症対策を評価した人は60.7%で、うち79.6%が小池氏を支持し、勝利の一因となった。(7月5日・毎日新聞)
小池氏が行った「コロナウィルス対策」は、とても印象に残ります。
いち早く「ロックダウン」という英語らしき強い言葉で危機を煽ったのちも「オーバーシュート」「夜の街」などキャッチーな言葉の使い方で耳目を集めることに成功。
作業着で現れたかと思えばおしゃれなマスク姿でファッション性もアピール。
特に服装とマスクとのコーディネートが抜群で、「アベノマスク 」との対比で「ユリコノマスク」なる言葉も生まれたほどでした。
小池百合子氏の女性へのアピールの巧みさ
コロナウィルスでのマスク姿という、政治家としての非常時の服装でさえも、自己をアピールする衣装に変えてしまうのはすごいことです。
そして、そんな華やかな姿に憧れる女性はとても多いのです。
自宅待機中、女性には重い負担がのしかかりました。
働く女性は特に、コロナウィルスにより学校や保育園が休みになるなか、子どもの面倒を見ながらテレワークをこなさなければなりません。
ただでさえ忙しいのに、子どもと夫が家にいる。
リモートで仕事をしつつ子どもの世話、または学校の宿題をみる。
当然家事もしなければならない。本当に大変だったと思います。
そして、テレビをつけると必ず小池氏が出ています。
様々な衣装とマスクとの絶妙な組み合わせとともにカッコよく英語を使いながらパネルを使って説明。
赤く染まったレインボーブリッジにも危機感を煽られ、「小池都知事は素晴らしいコロナウィルス対策をやっている」ように感じた人が多かったのではないでしょうか。
危機は人の心を高揚させます。
東京の夜景をバックにした、颯爽と美しい都知事の姿に、多くの女性が魅せられてしまった。
「危機に立ち向かう自治体首長」としての、申し分のない立ち居振る舞いも後押し。
多くの人が、小池百合子氏の真の姿ではなく、彼女が創り出した偶像に投票してしまったのだとラクダは見ています。
まとめ
- 小池百合子氏を厳しく批判する内容の「女帝 小池百合子」がベストセラーに
- 小池百合子氏の「自分ファースト」ぶりは有名
- にもかかわらず都知事選挙で小池百合子氏は幅広い層の女性からの支持を得た
- スタイリッシュな服装とマスク姿で多くの女性にアピール
- 危機を煽る言葉遣いと舞台装置設定の巧みさにより「危機に立ち向かう首長」のイメージづくりに成功
ラクダは考える
都知事選が終わった次の日の7月6日、「女帝 小池百合子」の著者の石井妙子氏がスポニチアネックスの取材に応じています。
記事の中で石井氏は、小池氏を選んだ都民には責任があると述べています。
このまま彼女の“自分ファースト”が進んだら、どうなってしまうのか。東京の没落は日本の没落です。世界から取り残され、相手にされなくなるのではないか。それを阻止できるのは都民だけです。都民とメディアが厳しく監視しなくてはなりません。(7月6日・スポニチアネックス)
私も同意見です。
私は、それまで小池百合子という政治家についてむしろ好感情を持っていました。
「女性でありながら自力であの地位まで上り詰め、男性に伍して政治の世界で頑張っている有能な人」というような。
私もまた、多くの女性たちと同じ勘違いしていたのです。
政治家という職業は、人に尽くすのが仕事です。
高い能力を自分のためではなく、自分の住む地域の人々のために使うのが政治家の役目だと考えています。
したがって、小池百合子氏の真実の姿を知ってしまった今となっては、正直東京の未来に一抹の不安を感じています。
彼女を選んだ東京都民は、これからその責任を負うことになるのでしょう。
さらに、もしも彼女が巷間言われているように国政に出てくるとするなら。
万が一、「この国初の女性首相」になることがあるなら、その影響は甚大です。
「自分しか愛さない首相」が誕生することがないように、一人でも多くの人にこの作品を読んで頂きたいと願っています。
✳︎7月9日現在、AmazonのKindle版(1500円)のみの取り扱いとなっています。