都立台場公園(品川台場跡)を探訪してきたのでレポートします。
台場公園は、お台場の海に浮かぶ江戸末期の砲台跡。
賑やかなお台場の街にほど近く、レインボーフリッジを間近に眺める場所ながら、静かな穴場スポットとなっています。
この記事では、台場公園と呼ばれる「品川第三台場跡」の基本情報とアクセス、歴史、現在(2021年)の様子、口コミ評判をお伝えして参ります。
目次
台場公園 基本情報とアクセス
基本情報
正式名称 | 台場公園(品川第三台場跡) |
住所 | 東京都港区台場一丁目10 |
開園 | 1928年(昭和3年7月7日) |
入場料 | 無料 |
開園時間 | 通年24時間入場自由 |
駐車場 | なし |
公式ウェブサイト | 台場公園 |
台場公園は、東京都港区台場一丁目にある都立の都市公園である。 ペリーの黒船来航に備え東京湾上に作られた品川台場の跡地の一つである第三台場を利用して1928年7月7日に開園した。
台場公園は、お台場の海に突き出たように浮かぶ人口の島。江戸幕府が黒船来襲に備えて品川沖に築いた砲台跡です。
現在はお台場海浜公園から通路でつながり、徒歩で渡ることができます。
一片が160m程度の正方形の島で、周囲は高く、真ん中が低いすり鉢状の構造になっていて、中央には芝生が広がっています。
アメリカ艦隊からの防御を念頭に造られた島であり、土手の内部には弾薬庫や砲台のレプリカ、兵士達の宿舎に使われたであろう陣屋跡などを見ることができます。
公園への入り口にはレインボーブリッジ遊歩道のお台場口があり、公園散策を楽しんだ後はレインボーブリッジから見下ろすことも可能。
また春には桜の名所ともなります。
なお、お手洗いはありますが自動販売機などはなく、近くに店舗もないので飲料水などは用意して行きましょう。
また外灯などはありませんので夜には真っ暗になります。お子さん連れで行くなら明るいうちをおすすめします。
アクセス
- ゆりかもめ お台場海浜公園前駅から徒歩15分
- お台場レインボーバス「お台場学園前」下車
お台場海浜公園駅付近にはたくさんの駐車場がありますが、公園専用の駐車場はなし。
また、すぐ近くのレインボーブリッジ遊歩道の駐車場は、2021年11月現在閉鎖されています。
よって、海浜公園前駅からてくてく歩くかバスに乗るしかありません。
ただ道は平坦で歩きやすく、暑い時期でなければそれほどキツくはないと思われます。
台場公園の歴史
1853年(嘉永6年)6月 | ペリー艦隊が浦賀に来航、幕府に開国を要求 |
同年8月 | 老中首座 阿部正弘の命により江川太郎左衛門英龍(坦庵)が御台場11基の建設を着工 |
1854年(嘉永7年)1月 | ペリー横浜に再来航 |
1854年(嘉永7年)4月 | 第一、第二、第三台場竣工 |
同年12月(安政元年) | 第五、第六台場、御殿山台場竣工(全6基完成) |
1873年(明治6年) | 海軍省の管轄になる |
1875年(明治8年) | 陸軍省に移籍 |
1915年(大正4年) | 東京市に払下げ |
1926年(大正15年)10月 | 第三、第六台場が国史跡に指定 |
1928年(昭和3年) | 第三台場が都市公園「台場公園」として開園 |
嘉永6年、ペリーが来航したとき、ご存知のように日本中がすったもんだの大騒ぎになりました。
慌てた幕府は珍しく素早く砲台の建設を計画、着工。わずか8ヶ月というものすごい速さで一部は強引に完成に近づけた模様。
工事は嘉永6年(1853)8月末に着手され、昼夜兼行で進められた。土取人夫(※2)などは第一・第二・第三台場築造時で5,000人にも及び、総築造経費は75万両(※3)という膨大なものとなった。
翌年再び来航したペリーが、品川沖に突如姿を現した砲台に驚き、横浜に引き返したと伝わっているほど建設は迅速に行われました。
当時の幕府が必死で国防を考えていたことが伝わってきます。
結局、急ピッチで竣工された、この六基の砲台が実戦で使われることはありませんでした。
が、開国を迫るべくドヤ顔でやってきた(と思われる)黒船軍団をいったん引き返させることに成功したわけで、きちんと砲台としての役割を果たしたといえるでしょう。
六基あった砲台は時間の経過とともに埋め立てられたり撤去されたりして四基が消失。
現在はこの第三台場と、近くの第六台場のみが国の史跡として残されています。
台場公園 探訪レポート
公園内部
お台場海浜公園役から歩くこと約15分で台場公園に到着。wikiでは「徒歩12分」となっていますが実際はもう少しかかります。
公園内入り口近くのわかりやすい場所に上のような簡素な案内の立て札が立っています。
なおトイレは入り口近くにあるだけなのでご注意を。
島の外周の土手から中央部分を見下ろしたところ。土手はかなりの高さがあり、内部を防御できる構造になっています。
右手奥の石が並んでいる部分は、兵舎となっていた陣屋跡。基礎石だけが残されています。
遠くに見えるフジテレビの社屋との対比が良い感じ。
土手から中央部分の広場に降りてみました。降りる道はたくさんあり、ちょっとした迷路のようです。
広場には芝生が広がり、小さな子供を遊ばせるのには最適。人も少なく、思う存分走り回れそう。
なお土手に穴が開いたように見えるのは旧弾薬庫の跡。こんな穴がいくつもあります。
陣屋跡まで来てみました。規則正しく並んだ基礎石はまるで遺跡のよう。
陣屋とは一体どんな建物だったのか、簡単な絵図などあれば良いのにと思いました。
案内看板には「砲台跡とかまど跡は江戸時代のものではありません」と但し書きがありました。
こちらが「かまど」の跡地に設置されたレプリカ。風化具合がまるで本物のようです。
敷石に開いた穴に火をくべて使用していたんでしょうか。想像力が試されます。
こちらが「砲台跡」のレプリカ。やはりコンクリートの劣化具合が本物っぽくていい感じです。
ここからはレインポーブリッジがよく見えて格好の写真ポイント。
砲台跡から土手の上を歩いてレインボーブリッジを良い角度で見ることができる場所を探しました。
この角度はベストかと。手前の木が邪魔(笑)。うっすらと東京タワーも見えます。
全体的に人の少ない台場公園ですが、ここにはさすがに何人かの人々がいて、ベンチで休んだり敷物を広げて寛いだりしていました。
公園外観
第三台場の全体像を見るにはレインボーブリッジの遊歩道が最適。
台場公園をいったん出て、すぐ近くの遊歩道台場口入り口から南側のサウスルートを歩いてビューポイントを探します(ノースルートは2011年現在通行止め)。
独特の地形と石垣、こんもりと生茂る樹々の様子がよくわかりますね。
手前に見える道のような部分は船着場跡で、一部崩落があったため現在は立ち入ることができません。
レインボーブリッジ遊歩道サウスルートは、台場公園とお台場の街が一望できておすすめ。
なお2021年11月現在の利用可能時間と休館日は以下のようになっています。
もう少し遊歩道を歩くと、第三台場とともに遺された第六台場が見えてきます。こちらは一般人の立ち入りは不可。
奥に見える「鳥の島」という人工島とともに、東京湾の海に浮かぶ生態系の繁殖場になっている模様。
第六台場は完全に樹木に覆われ、内部をうかがい知ることはできません。
ただ荒れた印象はないので、東京都がしっかり管理しているのでしょう。
台場公園の口コミ評判
台場公園の口コミ評判を拾ってみました。(Googleの口コミより)
都会の中の大自然。(中略)夜もライトアップされたお台場を見れるので良いですが、朝の散歩が気持ち良いです。人通りも少なく、朝は犬の散歩や近くをジョギングしている住民の憩いの場、という感じです。また歴史と平和への願いを感じさせる場所でもあります。
続日本の100名城で訪問しました。
お台場にこんな所があるとは知らず、とても良かったです。
皆さんの言う通り、景色は抜群です。
江戸末期にたった一年で作成したと考えると凄いですね。自然豊かで散歩するにはよいところです。
GWに人混みを避けてたどり着きました。(中略)桜や紅葉の時期に来ても綺麗そうです。
原っぱも気持ちいいし、説明のほとんど無い遺構が草生しているのとか、土塁に囲まれて対岸から切り離されてる秘密基地感とかも好きな人にはたまらない。
景色がよく散歩するには良い場所かな。
ゆっくり過ごすのに最適。
レインボーブリッジもよく見えるので、写真を撮るにも良い。
まだまだほめ言葉が続きます。
「都会の真ん中で時間が止まったかのような不思議な感覚にとらわれる」「人が少なく静かに景色を眺めるにはもってこい」などなど。
「隠れた穴場スポットであり、お台場の喧騒を避けてゆっくり過ごすには最適」という意見が目立ちました。
台場公園 まとめ
国の史跡に認定された台場公園(品川第三台場跡)についてお伝えしました。
お台場という地名は、江戸時代に外敵を防御すべく築かれた砲台跡の名称から来ていたのですね。
150年以上も前に、当時の英知を結集して西洋の脅威に対抗しようとした、江戸幕府の意気込みと矜持を感じます。
台場公園はとにかく人が少なく、密を避けてゆっくり散策するには最適な場所です。
レインボーブリッジのダイナミックな景観と、時間が止まったかのような静かな雰囲気との対比がなんとも魅力的で、お気に入りのスポットになりそう。
150年という時を超えて、今は静かに海に浮かぶ品川第三台場跡。
当時の歴史に思いを寄せつつ、ゆっくりと散策してみてはいかがでしょうか。